奇門遁甲における八門・九星・八神とは?
八門の象意解説
休門(きゅうもん)- 水の象意
キーワード:休息・療養・娯楽・隠しごと・女性・水辺
- 意味:休息・癒し・美容・遊び・レジャー・秘密・恋愛などを表す。
- 良い場面:休養・美容・デート・温泉旅行など。
- 悪い面:怠け・気の緩み・秘密の暴露・スキャンダル。
- 動物:怠けた動物、ゆっくり動く生物、水中の生き物。
- 植物:水草、水中植物。
- 環境:リゾート、温泉地、療養施設、愛人宅。
- 方位・季節・色:北・冬・黒。
生門(せいもん)- 土の象意
キーワード:成長・発展・商売・利益・拡大
- 意味:繁栄・開運・仕事・収益・学習・成長などに関係。
- 良い場面:商売・仕事のスタート・交渉・契約・習い事。
- 悪い面:過剰な欲、損得にとらわれる傾向。
- 意味合い:生=発展、生=「声」→発言や評判を伴う。
- 方位・季節・色:中央~やや北東/季節による変動・黄色系。
傷門(しょうもん)- 木の象意
キーワード:傷害・営業・利己・葛藤・批判
- 意味:傷害・損害・営業活動・競争・自己利益追求。
- 良い場面:営業・ビジネス交渉(駆け引きが必要な場)。
- 悪い面:トラブル・事故・批判・怪我・言葉のトゲ。
- 動物:犬・虎・軍隊・警察・馬(スピードの象徴)。
- 方位・季節・色:東・春・緑。
杜門(ともん)- 木の象意
キーワード:封じ・隠す・沈黙・病・技術
- 意味:封じる・技術・沈黙・病気・隠されたもの・抑制。
- 良い場面:研究・秘密保持・病気療養・隠遁・瞑想。
- 悪い面:病気(特に肝胆や呼吸器)、詰まり、行動抑制。
- 動物:夜行性動物(猫・ネズミ・イタチ等)。
- 方位・季節・色:東南・春風・緑。
景門(けいもん)- 火の象意
キーワード:表現・目立つ・芸術・容姿・視覚
- 意味:景色・外見・パフォーマンス・演出・視覚的魅力。
- 良い場面:広告・イベント・SNS発信・舞台・芸術・観光。
- 悪い面:見た目重視・中身がない印象。
- 動物:蝶・孔雀・鳳凰・小鳥。
- 物品:火・鏡・照明・文書・電子機器。
- 方位・季節・色:南・夏・赤。
死門(しまん)- 土の象意
キーワード:停滞・安定・執着・死・終わり
- 意味:静止・安定・頑固・生命の終わり・思考停止。
- 良い場面:墓参り・終活・意志を固める・地固め。
- 悪い面:病気・頑固・停滞・破局・災い。
- 動物:死んだ動物・牛・羊。
- 植物:枯れ木・柏。
- 方位・季節・色:西南・雨・灰色・暗い青。
驚門(きょうもん)- 金の象意
キーワード:驚き・発声・裁判・法・音・心臓
- 意味:驚き・音・公的機関・訴訟・幽霊・心の動揺。
- 良い場面:予想外の突破・突発的な発表・芸能・法廷勝訴。
- 悪い面:驚愕・噂・裁判沙汰・悪霊・パニック・心臓病。
- 動物:カエル・コオロギ・夜行性昆虫。
- 方位・季節・色:西・秋・白。
開門(かいもん)- 金の象意
キーワード:開放・拡張・昇進・始まり・承認
- 意味:オープン・開業・公開・交渉成立・昇進・移動。
- 良い場面:スタート全般・婚姻・契約・事業の開拓。
- 悪い面:秘密が漏れる・ガードが緩い。
- 動物:虎・ライオン。
- 方位・季節・色:西北・秋・銀白・金色。
九星の象意解説
天蓬星(てんぽうせい)
- 本名:貪狼星
- 五行:水
- 方位・卦:北方・坎卦
- 性質:陽星
- イメージ:冬の最も寒く暗い時期を象徴。陰を好み、陽を害す。盗賊や犯罪に関係があるとされ、凶星・盗星と呼ばれる。
- 『西遊記』では猪八戒が「天蓬元帥」に任じられるのも、この性質による。
- 適した行動:国境防衛、城壁建設、土木工事、防災堤防の補強、兵の駐屯・防御。
- 不適な行動:商売・旅行・遠出(盗難や病に遭いやすい)。
天芮星(てんずいせい)
- 本名:巨門星
- 五行:土
- 方位・卦:南西・坤卦
- 性質:陰星
- イメージ:死門と関連し、病気や疫病と関わるとされる「病星」「凶星」。奇門遁甲で病気を占う際の主要な星。
- 適した行動:学び・師に仕える、友人との交流、防衛・駐屯。
- 不適な行動:戦闘、結婚、訴訟、引っ越し、建築。
天冲星(てんちゅうせい)
- 本名:禄存星
- 五行:木
- 方位・卦:東方・震卦
- 性質:陽星
- イメージ:慈悲深く、他者を助ける心を持ち、農業とも関わりが深い。吉星ではあるが、天心・天任・天輔に比べると「準吉星」とされる。
- 適した行動:出征、将軍の選任、戦いの号令(太鼓・旗)など。
- 不適な行動:その他全般的にはやや不利。
天輔星(てんほせい)
- 本名:文曲星
- 五行:木
- 方位・卦:東南・巽卦
- 性質:陽星
- イメージ:学問・文化・教育に関わる「大吉星」。文章力・表現力・知性を象徴。
- 適した行動:ほぼすべてに吉。旅行、商売、結婚、建築など。特に進学・官職試験・教育関連に最良。
天禽星(てんきんせい)
- 本名:廉貞星
- 五行:土
- 方位:中央(五宮)
- 性質:陽星
- イメージ:大地を育む「中心星」であり、遁甲全体の中心的存在。非常に縁起の良い「大吉星」。
- 適した行動:万事に吉。四季を通してあらゆる行動に向く。
天心星(てんしんせい)
- 本名:武曲星
- 五行:金
- 方位・卦:西北・乾卦(六宮)
- 性質:陰星
- イメージ:「天の知恵」と「武力の力」を併せ持ち、リーダーシップや軍事、医療分野に関連する「大吉星」。
- 特性:善悪を裁く力あり、健康長寿・病気治療・指導的立場に強い。
天柱星(てんちゅうせい)
- 本名:破軍星
- 五行:金
- 方位・卦:西方・兌卦(七宮)
- 性質:陰星
- イメージ:秋の収穫期にあたるが、殺気と破壊の性質が強く「凶星」とされる。
- 適した行動:防衛の備え、兵の訓練や城塞建設。
- 不適な行動:出征、商売、遠出など(損害や事故の恐れ)。
天任星(てんにんせい)
- 本名:左輔星
- 五行:土
- 方位・卦:東北・艮卦(八宮)
- 性質:陽星
- イメージ:春の万物が芽吹く時期の象徴であり、物事を支え、育てる力を持つ「吉星」。
- 適した行動:国家設立、人民の安定、悪の鎮圧、教育、出仕、商売、結婚。万事に吉。四季通して使用可。
天英星(てんえいせい)
- 本名:右弼星
- 五行:火
- 方位・卦:南方・離卦(九宮)
- 性質:陰星
- イメージ:激しい火のエネルギー。明るく照らすが、災いや出血とも縁があるため「中吉または小凶星」とされる。
- 適した行動:謀略、献策、面会、謁見など。
- 不適な行動:財運・試験・婚姻・移転など(注意が必要)。
補足:九星と性格判断
奇門遁甲では、この「九星」が天の時を象徴し、人の性格や傾向もまた、この星が示す本質と一致すると考えられています。
俗に言う「性格は変えにくい」という前提で、人物鑑定にも用いられます。
八神の象意解説
値符(ちふ)
- 概念:権力・指導力・管理能力・威厳・高い徳・組織運営能力を象徴します。
- 性格:堂々とした風格、文武に秀で、上品で品格があり、怒らずとも威厳がある。
- 人物例:官僚・工場長・経営者・管理職・社長・有名人など。
- 物体:貴重品(金・銀・宝飾・現金・ブランド品)、高価なケース付きの物品など。
古代中国では「符(ふ)」を持つ者は官位のある者とされました。予測の際に用神が値符に臨むと、その人物はリーダー、官職者、有名人などと判断されます。ただし、宮に「内迫」や「撃刑」があると、その吉意は損なわれ、「有名人だが悪名高い」などとされることも。たとえば、(値符+庚)が「内迫」「撃刑」を伴えば、「黒社会(やくざ)で名の知れた人物」とも読めます。(庚)は奇門では敵や悪人を意味します。
騰蛇(とうだ)
- 概念:絡みつく・虚偽・恐怖・不安・幻想・夢・妖艶・毒・反復・変化・派手だが中身がない・回りくどい。
- 性格:執拗に絡みつく性質、虚偽や詐欺的、陰険で心に毒がある。感情が不安定で、言行一致しない。変わりやすく、優柔不断。
騰蛇に臨むと、着ている服は華やかで人目を引きます。中国人の性格として「掴みどころがない」「鳥のようで鳥ではない」など、曖昧な印象も象徴します。予測時にこの符号が見られれば、「幻覚を感じやすい」「酒や煙草で幻覚が出やすい」などとも解釈されます。もし家に精神疾患の人がいれば、騰蛇の象意を正しく調整することで軽減が可能です。睡眠中に夢を多く見るのも騰蛇の影響。騰蛇の最も重要なキーワードは「幻覚」。霊に憑かれたような言動(意味不明な話を延々と続けるなど)も騰蛇の象意です。
- 物体:蛇のようなもの、ツル植物、万里の長城、海岸線、コウモリ、ミミズ、糸、ツタ、サツマイモのツルなど。
太陰(たいいん)
- 概念:上昇・隠蔽・プライバシー・陰謀・色事・計画・秘密・隠し事・喜び事・彫刻・不倫・口論など。
- 性格:陰険で計算高く、冷たい表情。
予測時、家の中で暗く光が届きにくい場所は「太陰」の象意です。太陰は「金属的要素」や「細かいこと」、さらに「お祝いごと」も含みます。例えば、官職について占う時に、用神が太陰に臨み(かつその宮に凶象がなければ)、昇進を意味する可能性があります。一方で、犯罪者を占って太陰に凶象があれば「逮捕・投獄」などとも読めます。釈放の時期は、太陰がどの宮にあるかを見て、年月日時に対応させて判断します。
結婚を占うとき、女性が太陰に臨めば「不倫相手(第三者)」を示す場合があります。男性が臨んだ場合も同様です。太陰は女性にとっては「涙」、男性にとっては「喜び」となる場合があります。男性が太陰に臨んでいれば、「おめでたいことがありましたね?」と聞いてみましょう。本人が否定しても「じゃあ、浮気ですかね?」と探っていくのも可能です。太陰は「人には見せられない秘密」や「プライベート」を象徴するからです。
六合(りくごう)
- 概念:喜び、調和、協力、連携、契約の成立、抱擁、結婚、団結、集まり、平和。
- 性格:明るく穏やか、慈悲深く謙虚、誰とでもうまくやれる、仲介役や縁結び役の性質。
- 人物:親切で善良な人、人付き合いの上手な人、仲介業者、子供。
六合を得た人は、楽天的で親和性が高く、人に好かれるタイプです。「六合に会うと、合わされて身動きできなくなるのか?」と聞かれることがありますが、そうではなく、人に好かれて「手放したくない」と思われている状態です。また、男女の合体・抱擁をも象徴し、特に結婚を意味します。年・月・日・時に六合が臨むと、そのときに一緒になる(同居・結婚など)と判断されます。
例えば「今何してる?」と聞かれ、用神が六合に臨んでいれば「今ズボンを履いてベルトを締めてる最中でしょ?」というほどの的中も可能です。
また名言として:
- 環境が心を作り、心が思考を生み、思考が行動を決め、行動が習慣となり、習慣が性格を形づくり、性格が運命を決める。
「官職に向く性格」は、値符や甲に臨むことで表れます。六合が結婚を意味する場合、例えば(六合+乙)は「長い髪の女性」を意味し、髪を切る=妻との別れ、髪が伸びてくる=再び戻ってくる、というような象意の読み方が可能です。
白虎(びゃっこ)勾陳
- 概念:猛々しさ、威厳、障害、争い、権力、剛毅、強硬、裁判、怪我、災難、牢獄、病気、道路、専門技術。
- 性格:正義感が強く、判断力があり、激しさと剛直さを持つ。ただし落宮に問題があると反面の悪性が出る。
- 人物:技術職、喧嘩好きな人、義理堅い人、軍人・警察官、高度技術者、顔つきが虎のような人、喪服を着た人。
一般的な占いでは白虎は「凶神」とされますが、筆者はそうではなく「本当の凶神はライオン」だと言っています。なぜなら虎でもライオンには従うからです。
白虎が用神に臨む場合、「短髪・虎のような顔つき・色白」などの特徴を言うと当たります。また、白虎は「鍵・ロック」の象意もあります。予測で白虎を見たとき、「今、家の鍵がかかってるでしょ?」と聞いてみて、相手が否定しても何か家の中で問題がある可能性が高いです。
白虎が落宮に問題がなければ「民のためになる力」、問題があれば「民を害する凶意」となります。
玄武(げんぶ)朱雀
- 概念:深遠、神秘、不確か、不透明、嘘、策略、盗み、不倫、詐欺的、錯覚。
- 性格:機転が利き、話術に長けるが、ずる賢く、手段を選ばず、言動が変わりやすい。
- 人物:賢く芸術的な人、虚言癖のある人、嘘をつく人、水産業従事者、泥棒や浮気者。
玄武は「人を騙す・混乱させる」力があり、小品(中国の喜劇)に出てくる“ごまかし上手”のようなキャラです。玄武は「錯覚」の象徴でもあり、たとえ実在するものでも存在が曖昧に感じられたりします。道教思想の「玄」=「玄妙で深く、悟りがたいもの」を象徴します。
また、玄武は「夜の活動」を好むため、視界の悪さ=物事が見えにくい・誤解・混乱を暗示します。
九地(きゅうち)
- 概念:低さ、安定、重厚、従順、謙虚、ケチ、消極、自私、包容、配慮、鈍さ、混乱。
- 性格:穏やか・控えめ・内向的・節約家・意欲に乏しい。
九地に臨む人物は、動作がゆっくりで慎重、卑屈に見えることもあります。ただし、徳を備えた人も多く、包容力のある人とも読めます。もし宮に「撃刑」「内迫」などの凶象があれば、ネガティブな性格(ケチ・自己中)が表面化します。
九天(きゅうてん)
- 概念:高さ、高空、抽象性、重要性、支配、意志、豪胆さ、明るさ、美しさ、傲慢さ。
- 性格:威厳を持ち、強い意志と行動力、野心的で理想が高い。
- 人物:志高く、上昇志向の強い人。エネルギッシュで前向き。
▶ 日本式の一般的な象意を見てみる九天に臨む人は、地に足がついていない傾向があるものの、活気に満ちており、高い目標を持ちます。ただし、落宮に問題があればその力は損なわれます。九地と比べて、九天は「速い展開」、九地は「遅い進展」として対比されます。